ある雑誌に広告を出しましたが、1件もお問い合わせがありませんでした。広告費数十万円をドブに捨てたのと同じになってしまった。どこがまずかったのでしょうか…そして次に失敗しないためには、どうすればいいのでしょうか?

A:じつは、自分が「何をやろうとしているのか」わかっていないことが原因です

あの有名な雑誌に広告を出したのだから、少なくとも1件くらいのお問い合わせはあるだろう。しかし、1週間経ってもまったく反応が無い。数十万円が一瞬にして消えてしまった…。多くの企業さんで同じような失敗談を耳にすることがあります。今週はとくにこの質問が多かったので、ピックアップしてみました。

じつは、私にも同じような経験があります。その度に、自分は一体どこで間違ってしまったのか?なぜ数十万円が水の泡になってしまったのか?そのような強い後悔や疑問が心の中に残りました。

「売れる広告」VS「売れない広告」

広告には大きく2種類があることをあなたはご存知でしょうか?「売れる広告」と「売れない広告」。日頃さまざまなところで目にする広告はほとんど「売れない広告」のタイプが多いです。これを「イメージ広告」と言います。写真などのイメージ中心で文字少なめ、会社名と商品の特徴と価格が記載されています。媒体出稿の際に丸投げで業者にお任せにすると、だいたいこのタイプの「売れない広告」ができあがります(もちろんすべてではないです)。

そもそもイメージ広告は大企業のための広告で、不況になると一番先にカットされるタイプの広告です。イメージ広告は、会社の収益のためでなくブランドイメージの認知やその向上に使われます。このため効果の測定が非常にしにくく、中小企業には不向きです。

一方、「売れる広告」もあります。これをレスポンス広告と言います。ダイレクトレスポンスマーケティングと呼ぶこともあります。典型的なのは、通信販売の広告をイメージするとわかりやすいと思います。

イメージ広告との大きな違いは、「行動を喚起する提案(オファー)」があるかどうかです。「行動を喚起する提案(オファー)」とは、無料お試しや試供品の無料進呈、特典プレゼント、数量限定モニター募集など、相手にとって行動を起こさずにはいられないほどの魅力的な提案のことです。相手の方から頭を下げてお願いしたくなるような提案です。

社長自身が「売り方」を学ぶことが最重要事項

「行動を喚起する提案(オファー)」があることで、広告の反応が計測可能になり、広告費を売上に関連づける仕組みをつくることができるようになります。仕組みができることによって、広告キャンペーンのどこでつまづいたのか、分析もしやすくなるため、失敗を重ねるたびにそのデータから成功に近づくヒントが得られやすくなります。

じつは広告のプロは、商品を売るプロではありません。広告のプロは広告枠を販売するプロであり、商品の「売り方」までは考えてくれないのです。そこは社長の仕事だからです。社長自身が「売り方」の勉強をし、的確に業者に指示を出せるようになることは、社長自身のビジネスを成長させる上で最重要事項です。

●「売り方」の3つの原則

  1. 見込み客を集めるマーケティング活動が全ての原点(売り込み厳禁が鉄則
  2. 集めた見込み客への成約率を高める2ステップ方式(欲しい人にだけ売る
  3. 成約したお客様に満足して繰り返し買っていただく(鉄砲でなく玉を売れ

そして利益がなくては継続できない事実を忘れないことも大切です。利益の方程式をいつも頭に入れておきましょう。

●「利益」の方程式

  • 利益=LTV(お客様が1年間に購入する金額から仕入を差し引いた額)−CPA(そのお客様を新規獲得するのに掛かる費用)
  • LTV(粗利)=客数(見込み客×成約率)×単価(@粗利)×頻度

※小さな会社では「成約率」と「頻度」を高めることが基本戦略

広告の前に考えるべき「数字」

できる限り「お金をかけずに」かつ「時間をかけずに」実現できる集客方法を考えることが好ましい方法です。しかし現実的にそんなにうまい話はなく、「お金を掛けて、手間(時間)を節約する方法」か、「手間(時間)を掛けて、お金を節約する方法」のどちらかに落ち着きます。そして「利益の方程式」に照らし合わせて、「LTV(粗利)−CPA(顧客獲得コスト)」が赤字にならないように数字を計画していく、これが戦略の基本です。数字を計画するときはその背景にあるストーリーを組み立てるように考えてみると具体的な数字が見えてきます。

「利益の方程式」が赤字の状態では、実践すればするほど、行動量を増やせば増やすほど、広告を出せば出すほど、赤字が膨らみます。戦略の間違いは戦術で補うことは不可能です。この事実を把握せずに、広告の表現や文面を変えたり、あれこれやっても、利益には繋がってきません。大事なことはまずしっかり「自社の利益の方程式」を構築し、その数字の実現[ゴール]のための行動や施策[プロセス]を具体的に考えることです。広告のテクニックだけでなく、広告を出す前の基本戦略から、広告を出すときの集客戦術、広告を出した後の営業戦術というように、広告の前後左右の流れをイメージしながらアイディアをシナリオのように落とし込んで、やるべきことを3ヶ月行動計画などにまとめるとよいでしょう。あとは行動計画に沿って実行し、数値を計測します。数値を計測できるようなプロセスにしておくことが肝心です。

成果に直結するのは「言葉」

そして、戦略を具体的な成果につなぐのは、「現場での実践」です。その行動にはすべて「コミュニケーション」が含まれます。コミュニケーションとは「メッセージ」のやりとりです。メッセージの核となるのは、戦略に基づいて練られた「お客様の心を動かす言葉」です。これを「コンセプト」と言います。つまり、利益をつくるための仕組みは戦略、戦略の成功のカギがコンセプト、コンセプトの具体的な表現がメッセージ、広告メッセージづくりがすなわちコピーライティングというわけです。デザインの役割は見た目を単によくするだけではなく、このコンセプトおよびメッセージの「伝達速度」を速める戦略的な視覚表現のためにあります。デザインは言葉のコミュニケーションよりも、速くお客様の心を掴み動かす役割があります。しかし戦略を考えるときはデザインが先なのではなく、言葉が先です。

成果を決める3つのカギ「戦略」「数字」「言葉」

私の失敗は、そもそも成果を決める3つカギを「何も考えていなかった」ことが原因とわかりました。当時デザイナーという職業柄、無意識に思考停止状態になっていて、見た目のデザインしか考えていなかったのです。注意深くターゲットを決めて媒体を決めてと、基本に忠実にやっていたつもりが、ターゲットの「購買プロセス」や「価値観および信念」「行動を起こすタイミング」、そのときの「心理状態」や「決定要因」、「訴求のキーワード」などについて一切、考えることができていなかったのです。ざっくりと発行部数、広告費、1件成約できたら元取れるくらいの単価、その程度のどんぶり勘定で勝手にワクワクしていただけでした。今、冷静に考えてみると、私自身も業者任せで「売れない広告」に大金を捧げていたのです。それだけで注文が入るわけはないと今は気づきます。

まとめ:売れる広告の作り方、3つの準備

「自分が実現したい未来」は、「自分がこれから何をやろうとしているのか」わかっていなければ、手に入りません。当たり前のことですよね?ですが、ここが意外と盲点になっています。思考が停止していることに普段はなかなか気づけないのです。広告に限らず、何か成果が求められるような仕事の場合、「自分がこれから何をやろうとしているのか」しっかりと明文化して進めることを心がけましょう。

  1. 戦略「売り方」
    →お客様の購買プロセスに合わせて、自社のお客様づくりの標準プロセスをつくる(1.集める、2.そして売る)
  2. 数字「ゴール」
    →目標数値(ゴール)を決めて、利益の方程式(プロセス)を組み上げ、具体的かつ計測可能な3ヶ月行動計画に落とし込む
  3. 言葉「オファー」
    →お客様の課題感やベネフィットを想定し、お客様が欲しがる自社の価値提供(オファー)をわかりやすい言葉で提案する

インターネットの特徴は、とくに「数字」と「言葉」の検証がしやすいことです。ちょっと仕組みを意識しておくだけで、「数字」と「言葉」のデータを収集することができます。これを知っているのと知らないのでは、ライバルとの大きな差になります。

インターネット上で商売をやるかやらないかに関わらず、すべての企業でデータを活用しやすい時代になっています。